田んぼや民家が混在する自然豊かな山間に建つ平屋住宅です。 敷地はもと田んぼだったため、高床式にし、水はけ、湿気対策としています。 基礎は、工場で造った帯状のコンクリートを、伝統木造のように石場建てにし、 杭は木杭を使用することで、極力、自然豊かな環境に負荷がかからないよう、 そっと置かれたような建築にしました。 また、クライアントの祖父の代は林業を営んでおり、 自分たちの木を育てては市場で売ったりしていたが時が経つにつれ、 材木が売れなくなり(輸入材は運搬経費などを含んでも、国産材より安価である。)、 木々は伐採されずに放置されていました。 そこでこの計画では、祖父の代から育てられた木を、自分たちで伐採し、 運搬、加工して建てる事を考えました。 構造は、伐採できる木の直径(加工後120mm角以下)や強度(無等級)、 運搬性(長さ4M)を考慮し、合理的な計画としました。 自分たちがもっている身の回りのものを使って、自分たちの家をつくる、 昔は当たり前のようにあったものが、現代では非常識と思われてしまう、 そんな歪んだ世の中に一石を投じたいと思いました。