G町の立体廻廊

Three-dimensional corridor in G town

不自由さと豊かさ

建築は、柱や壁を立て内と外を規定したり、そこからしか出入りできないように扉を設けたりと、行動を制限するものです。
建築の設計は、なにもない自由な場に、不自由さをつくりだす行為です。
また、一本の階段を設計すると、その他にありえたかもしれない階段の可能性を捨てることでもあります。
建築の設計はあらゆる可能性をひとつひとつ潰していき、ありえたかもしれない世界の可能性を限定していく作業です。
僕は、建築の不自由さや不便さにあらためて自覚的になり、建築にしかできない、建築の可能性と豊かさについて考えていきたいと思っています。
本計画では、既存の住宅の、家の中の端から裏庭までを立体的につなぎ、回遊できる立体廻廊を挿入します。
立体回廊は、近道できないように遠回りさせる長い動線をつくり、不自由さと行動を制限するものになっています。
しかし、人が思わず白線の上を歩いてしまうように、自ら不自由さや制限を楽しむものになれば、建築にしかできない、建築の豊かさと可能性につながるはずです。

G町の立体廻廊

掲載
  • 新建築住宅特集2020年1月号
  • SD2019年鹿島出版会
受賞
  • SD Review 2019