丁寧にメンテナンスしながら住み継がれていた築100年の農家住宅を、あらたに2世代3人が加わり、4世代5人家族が同居するための改修計画。 まず、昭和期にリフォームされた窮屈な部屋割りを撤去、吹き抜けを設け、みんなが集まれる広いダイニングキッチンスペースに変えました。各室は間取りを踏襲、既存壁床を耐震補強し丁寧なリフォームをおこないました。加えて、かつて畑や遊び場として活用されていた裏庭を再び使える庭に戻しました。 次にそれらバラバラの場所を1本の動線でスムーズにつないでいきます。 具体的には、急勾配だった階段は、緩やかな階段に作り変え1階と2階をつなぎました。既存の柱や梁をかわしながら、緩やかなスロープでぐるりとまわり2階の各室への動線をつくりました。さらに2階窓から飛び出し裏庭へ延長しました。 引き伸ばされた動線よって、多方向に視線が展開し、人と空気が流れ、多世代が住むに見合う距離をつくり、家と敷地全体が伸び伸びと使われる状態へと変わりました。 本計画は、面的に空間をつくっていく方法ではなく、すでにそこにある空間を繋ぐのか、近づけるのか、または離すのかといったように距離を再構成することで、線的に広がりをつくるリノベーション手法です。