一つのルールでできた美容室
計画場所はテナントビルの2階にあり、一面がガラス窓になっていて外の閑静な住宅地の風景が望め、その他三面は壁で囲われているスケルトンの空間に美容室を計画しました。
クライアントからの要望は2つ。
一つめは「両面ミラー」「フィッティングルーム」「フレキシブルに利用できる棚」の美容室のために必要最低限な機能が欲しいこと。
二つめは外の風景が望める開放感と、お客さん同士、お客さん客と従業員の目が合わない等、視線について配慮した計画であること。
この二つの要望にたいして「家具を配置する向きを揃える」というたった一つのルールによって、同時に答えようと考えました。
具体的には、要望された家具ボリュームには長手と短手があるため、短手をガラス窓に向けて配置する事で最大限風景が望めるようにし、長手は視線が合わない目隠し壁のような役割をもたせました。
必要最小限の機能だけで作られたこの空間では、人の振る舞いや、ミラー越しに写り込んだ風景など、一つ一つの事柄が豊かなものとして浮かび上がってきます。