JOURNAL

お店づくりプロセスpart1「間取り」

場所は京都市の交通量の多い歩道と道路に面した5.6坪の場所に、店内飲食とテイクアウトの両方の形式で営業されるたこ焼き屋の設計を依頼されました。

このお店をつくるにあたり間取りのレイアウトについて考えたことを書きたいと思います。

クライアントの要望は、
「大衆的でジャンクなイメージのたこ焼きではなく、どこにもないスマートで洗練されたお店にしたい。」
とのこと。

 

提供するたこ焼きの特徴は、
素材選びにとことんにこだわった、ふわふわ、トロトロのたこ焼き。

 

試食させてもらうと
ジャンクなイメージとはかけ離れた新しいたこ焼き、何個でも食べられる上品な料理といった印象で、これは美味しいと感じました。

 

この「要望」とこの「たこ焼き」にふさわしい間取りのレイアウトとはどんなものでしょうか。考えていきます。

クライアントからは「PLAN_A」のレイアウトを要望されました。

L字カウンターの、南側の入り口の目につきやすい正面にレジカウンター(黄色)を置き、横面に店主がたこ焼きを焼く台(茶色)を配置するレイアウトです。

ちなみに、お店はセルフレジを採用予定だったため、入り口からすぐにレジカウンターがあったほうがお客さんが買いやすいのではとの思いからでした。

一般的なレイアウトですが、よくよく考えると、良くないところが目についてきます。

せっかく店主がライブ的にたこ焼きを焼いているところが見えにくくなってしまう事。
道を歩いていている時にふと、たこ焼きを焼いているのを見つけ、ついつい買ってしまったり、匂いにつられて立ち寄ってしまったりといった効果が減ってしまうのが残念だと思いました。

また、入り口正面にセルフレジがあるのは、目につきやすいですが、「買ってください」と言わんばかりに主張しすぎてしまい、
チェーン店のファストフード店と変わらない店構えになってしまうと感じました。

そこで私が提案したのが「PLAN_B」です。

入り口正面に焼き台。横面にレジカンターを配置しました。

こうすることで、たこ焼きを焼いているライブ感が歩道に溢れ出し、道を歩く人から見えやすくなります。匂いと音でついついお店に引き寄せられる効果もこのレイアウトによってつくり出すことができます。

「買ってください」と主張しない自然なお店づくりは、洗練された上品なたこ焼きに相応しいと思いました。

横面のレジカウンターへは、適切なサイン計画と、店主の声かけによってスムーズに誘導することを考えました。
店主の声かけは、お客さんとのコミュニケーションのきっかけにもなります。

焼き台とレジカウンターをどこに置くかだけのレイアウトの違いですが、「PLAN_A」と「PLAN_B」ではまったく違う店構えになると思います。

間取りによって様々な効果を生み出す事が可能ですので、どこに何をレイアウトするか丁寧に検討する事が大切です。